《錦糸町ハプバー経営夫婦殺人》55億円詐欺「地面師」を虜にしたフィリピン人ホステス・モラレス容疑者の「ウエディング写真」と“ルフィ事件”との「数奇なリンク」
2024/01/23

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 煌びやかな照明の下、ソファ席にホステスたちをはべらせるストリートファッションの中年男。開店と同時に現れ、高級酒をポンポンと開けながらラストまで豪遊する男は、自称コンサルタントのカミンスカス操(63・旧姓小山)。2017年、大手住宅メーカー「積水ハウス」から約55億円を騙し取った〝地面師グループ〟の主犯格である。

 詐欺罪などで懲役11年の有罪判決が確定し、服役中のカミンスカスは、逮捕前の2017年以降、台東区浅草にあるフィリピンパブ「G」に足繁く通っては、散財を繰り返していた。

 その度に指名を受け、隣にピタリと寄り添った美人ホステスこそ、後に足立区で高橋徳弘さん(55)、希美江さん(52)夫婦を惨殺するモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ(30)だった――。

「G」の常連客だった都内の会社員Aさん(50代)が振り返る。

「モラレスの源氏名は“アヤ”。由来かどうかは分からないけど、モデルの大政絢にそっくりな美人でしたね。

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カミンスカスも、彼女が入店してすぐ、メインで指名するようになりました。彼はスケボーブランド『Supreme』やストリート系のハイブランド『Off-White』のファッションが好きで、『Chrome Hearts』もよく着ていた。フィリピンパブは散財してもせいぜい数万円ですが、カミンスカスの金遣いは次元が違うんです。一晩で100万円以上使うこともある超“太客”でした」

 アヤことモラレスは、カミンスカスという“太客”を得て、たちまち「G」のナンバーワン・ホステスに登りつめる。

「常時20人ほどが出勤する大箱の店で、もともとアヤは指名客を多く抱える人気ホステスの1人でしたが、トップになったのはカミンスカスのおかげでしょう。銀座の『LOUIS VUITTON』に買い物に連れて行ってもらったと言っていましたし、よくカミンスカスから高級ブランド品をプレゼントしてもらっていたようです」(同前)

 Aさんも、そんな“アヤ”を指名する客の1人だった。

「アヤは2017年11月、格安航空のLCCで来日して、その翌日からすぐ『G』で働き始めたそうです。その初出勤の日にたまたま店に行っていた私は、席についた彼女を気に入って、指名するようになりました。アヤは当時22、3歳。日本は初めてではなく、以前も日本に来て茨城県のパブで働いた経験があると。日本語の会話もできました」

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 陽気なフィリピン人女性が多い中、モラレスは大人しく物静かな性格で、自分から積極的に話しかけてくるタイプではなかったという。

「その代わり、まめにLINEをくれましたね。朝は『OHAYO』、夜は『OYASUMI』と、ローマ字日本語で、必ずメッセージを入れてくれるんです。また、負けず嫌いなところがあって、アヤが他の指名客の席についている間、僕のところにはヘルプの子がつきますが、戻ってくると、ヘルプの子と僕の間に割り込んで座り、ヘルプの子とは目も合わせない。そういう気の強さが可愛らしかった。二人で話す時は、フィリピンにいる母親や義理の父親、妹のことなど、家族のことを明かしてくれました。フィリピン人らしい、家族をとても大切にしている子でしたね。本国の家族も、アヤの稼ぎで支えていたのでしょう」(同前)

 店外デートにも気軽に付き合ってくれたモラレスとAさんは、自然な流れで肉体関係を結んだ。てっきり自分には特別な好意を向けてくれていると感じていたが――。

「彼女が、実は結婚していたことを知ったんです。相手はキッチンで働いていた『G』のオーナーの息子でした。年代はモラレスより一回り以上は上だったかと。SNSで結婚した時のツーショット写真も見つけました。

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さらに、他の客と話していると、アヤと“関係”を持った人が少なくないことも分かってきて。裏切られたような気持ちになり、彼女を問い詰めたんですよね」

 モラレスは結婚の事実について、こう釈明したという。

「ビザ目的の偽装結婚だから。相手(夫)には別の女の人がいる」

 その後、Aさんの足は「G」から遠のいていく。そして2018年の秋。フィリピンの女性に在留資格を取らせるため結婚を偽装したとして、「G」の関係者や偽装結婚した男女26人が逮捕される。偽装結婚の巣窟となっていた「G」が閉店した一方、巨額詐欺事件で捜査の手が迫っていたカミンスカスは、マニラに高飛びした。

 また、「G」は大物地面師だけでなく、あの“ルフィ事件”とも接点を見出せる店だった。事情を知る関係者が明かす。

「この『G』の事実上のオーナーは、ルフィ一味の今村磨人らと交流があった。昨年の一連の強盗事件では、ルフィ配下の実行役に犯行資金を提供したとして、警視庁に逮捕されている(後に不起訴処分)」

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 他方、アングラマネーを原資とする“太客”を職場ごと失ったモラレスは、人生の歯車を狂わせていく。Aさんが続ける。

「ほとぼりが冷めた後で働いたという上野の店では、あちこちからお金を借りて金銭トラブルを起こしていたそうですが、少なくとも『G』にいた頃は、『お金、お金』という感じではなかったんです。カミンスカスの寵愛を受けていた頃は、月に100万円以上の収入があったでしょうし、生活レベルを落とせなくなったのかもしれませんね……」

 前出の関係者が付け加える。

「モラレスは『G』が摘発された頃、妊娠して男児を出産した。ところが、婚姻関係にあるオーナーの息子は『俺の子じゃない』と言い出し、後に離婚を巡って裁判沙汰になっている。オーナーの息子はモラレスと離婚後、別の女性と所帯を持って暮らしており、今は無関係。一方のモラレスは、幼い我が子をフィリピンの母親に預けて日本で生活を続けたが、どうにか子供を日本に呼び寄せようとしていた」

 やがて夜の街からフェードアウトしていったモラレスは、首都圏の病院で看護助手として働くようになる。前後して、3年ほど前に知り合ったのが、髙橋さん夫婦の息子だったという。

「2人は結婚を前提に交際を始め、当初は両親も公認していたが、お金に執着するモラレスと両親の関係が悪化。

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モラレスは自分の過去を明かしていなかった可能性もある。結婚の話は立ち消え、昨年秋、息子が千住署に金銭トラブルを相談。モラレスに貸していたお金は50~60万円で、その後、モラレスも返金を求められていることを千住署に相談するなど、両者間に火種が燻っていた」(捜査関係者)

 そしてモラレスが暴発したのは、今年1月16日。モラレスは、フィリピンの同胞で知人のデラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシン(34)とともに、新居になっていたかもしれない、高橋さん宅へと押し入ったのだった――。

 この6年あまりの月日でモラレスの人生は怒濤のように流れて行った。格安チケットで日本に辿り着き、いわくつきの店で働きながら金を稼いで、幾人もの男に愛された。結婚し、子供をもうけ、そして殺人にかかわった廉で囚われの身になった。

 モラレスはいま、なにを思うのか。

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