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渦巻く嫉妬で「源氏物語」よりドロドロ… 「光る君へ」を最高に楽しむ鑑賞法を伝授
2024/01/22

 平安の貴族社会が舞台となるのは初だとか。今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は世界的古典「源氏物語」の作者・紫式部が主人公だ。人気古典エッセイスト・大塚ひかり氏が、現代と異なる身分と階級が元になった人間関係を鍵に、目からウロコの鑑賞法を伝授する。

 ***

「源氏物語」を書いた紫式部が大河ドラマの主役になる。

 世界的な大古典の作者なんだから、今まで主役にならなかったほうが不思議だが、平安中期の都では派手な戦闘シーンも期待できないし、「源氏物語」は現代人とは無縁な王朝の恋愛ドラマと思われがちだからだろう。

 しかし実は、平安中期というのはそんなに優雅な時代ではなく、貴族たちもお気楽ではなかった。

「源氏物語」自体、政治闘争を描いた小説でもあるし、経済小説として読むこともできる幅の広さをもっている。

 物語そのものが「大河ドラマ」であるともいえるのだ。

時代劇から現代劇にスライド

 ストーリーは4代76年以上にわたる長大なもの。物語の幕開けの時代設定は、展開する音楽の研究から、延喜・天暦の治とたたえられた醍醐・村上天皇の御代であることが分かっている(山田孝雄『源氏物語の音楽』)。物語の終盤では横川(よかわ)の僧都(そうず)という、紫式部と同時代の人物をモデルにしたことが明白な僧侶が登場し、そこに至って当時の読者は「これは現代の物語である」

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と気付く構造になっている(今でいえば、第2次世界大戦後から物語が始まって令和の現代に至る感じ)。

「源氏物語」は、当時の人にとって理想的な時代を起点として紡がれた、時代劇から現代劇にスライドする大河ドラマなのである。

「嫉妬と階級」が物語を貫く大動脈

 そんな「源氏物語」は、さまざまな切り口で語られてきた。私自身も「親子関係」や「身体描写」など、いろいろなテーマでアプローチしてきたが、物語の大きなテーマは「嫉妬」と「階級」であろうと思っている。

“いづれの御時にか、女御更衣(にようごかうい)あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際(きは)にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり”

 物語はしょっぱなから、女御、更衣という天皇の妻のランクを示し、「大して高貴な身分ではない」のに「ひときわミカドのご寵愛を受けている」、つまりは「階級にそぐわぬ良い目をみている」女がいたというのだから、読者は波乱の展開を予感する。

 案の定、

「われこそはというプライドのある高貴な出自の女たちは、心外な者よと彼女を見下し嫉妬なさる。彼女と同等、それ以下のランクの更衣たちは、まして穏やかな気持ちではいられない」

 ということになる。

 嫉妬は、近い立場の、やや劣った者ほど激しい。

「私だってあいつと大して変わらないのに、なぜあいつだけが」

 という思いに至るからだ。

紫式部と嫉妬

 そんな物語を書いた紫式部自身も、嫉妬され嫉妬していた……ということが「紫式部日記」や私家集「紫式部集」を読むとうかがえる。

 学者官僚の父が、弟(兄とも)に漢文を教える傍らで、いち早くそれをマスターし、「この子を男子として持たなかったのは運がなかった」と、常に父の嘆きを浴びるほどの頭脳を持っていた彼女は、一夫多妻の当時、すでに妻子のある、父親ほどの年齢の男と結婚する。しかし娘を出産して間もなく、夫と死別。幼な子を抱え、時の権力者・藤原道長の娘で、一条天皇の中宮である彰子に出仕する。その時期やいきさつについては諸説あって定かではなく、日記や後世の系図集の記述から道長のお手つきであったという説もあり、私は関係はあったと考えているが、本当のところは謎だ。

やっかみまじりの反発

 確かなのは、紫式部が人に仕えるわが身を嘆きながらも、彰子の家庭教師に抜てきされて、身分以上の厚遇を受けるようになったことだ。

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しかも一説には出仕前に書かれた部分もある「源氏物語」がスカウトのきっかけになったともいわれ、内裏女房からも同僚女房からもやっかみまじりの反発を受けていた。

「源氏物語」が評判になって、一条天皇が、

「この人は日本紀(にほんぎ・「日本書紀」などの歴史書)を読んでいるね。実に学識がある」

 と仰せになると、とたんに、“日本紀の御局(みつぼね)”などと内裏女房にあだ名を付けられる。

「紫式部集」には、“いといたうも上衆(じやうず)めくかな”(ずいぶんと貴婦人ぶってるわね)と、ほかの女房が言っていたのを聞いて詠んだという詞書の歌も載っている。

「さし当たって、恥ずかしいとかひどいと思い知ることだけは免れてきたのに、宮仕えに出てからは、本当に残るところなく思い知るわが身のつらさであることよ」

 紫式部は、日記にそう書いている。

紫式部自身も貴族女性に嫉妬

 一方で彼女は、宮仕えをしていない貴族女性に嫉妬に似た思いを抱いてもいた。

 仲良しの同僚と宮仕えの愚痴などを言い合っていると、公達が次々とやって来てことばを掛けてくる。適当にあしらうと、公達はそれぞれ家路へと急いで行く。それを紫式部は、

「どれほどの女性が家に待っているというのかと思いながら見送った」

 と記している。

 さして優れているとも思えないのに、男の家路を急がせるほどに大事にされている女がいる。それに比べて私や同僚は、煩わしい宮仕えの身の上という不運さ。

 娘を天皇家に入れて、生まれた皇子を即位させ、その後見役として貴族が権勢を握っていた当時、女の地位は武士の時代と比較すれば格段に高く、紫式部のような能力のある女は重用されもした。しかし貴婦人は夫や親兄弟以外の男には顔を見せないことが基本だったため、多くの男たちと接する宮仕えは良くないとも考えられていた。清少納言は「宮仕えする女を軽薄で悪いことのように言ったり思ったりしている男などはとても憎らしい」と「枕草子」に書いている。

 女が重用されながらも、根っこのところでは男社会であるという、現代日本にも似た女の生きにくさに、紫式部も苦しんだのである。ここにはまた、ある程度の女の地位の高さがありつつも、女が抑圧されている(だから言いたいことが増えていくのだ)という、女流文学の生まれる社会の条件のようなものも見てとれよう。

清少納言への対抗心

 紫式部は、一条天皇の皇后定子に仕えていた清少納言に対し苛烈な評をしていることでも知られる。

「清少納言こそ、得意顔をしたとんでもない人です。あれほど利口ぶって漢字を書き散らしていますが、そのレベルはというと、よく見ると足りないところがたくさんあります。あんなふうに人と違った個性を発揮しようと心がける人は、必ず見劣りして、行く末は悪くなる一方です。風流ぶることが身に付いてしまった人は、とても寂しくつまらぬ時でも、“もののあはれ”に進み、面白いことも見逃さぬようにしているうちに、しぜんとよくない軽佻(けいちょう)浮薄な有様にもなるのでしょう。そういう軽佻浮薄になってしまった人の成れの果てはろくなものではありません」

 すでに定子は崩御し、彰子には皇子が生まれ、双方の勝敗が決定した状態での悪態……そのことばの裏には、政治的に敵対していたサロンを代表するライバルへの対抗意識や、清少納言個人への敵愾(てきがい)心もあろう(清少納言は「枕草子」で紫式部の夫やいとこの微妙なエピソードをつづっていた)。それに加え、好き勝手しながら、自分の居場所を確立していたかに見える清少納言への嫉妬心もあったのではないか。

知識をアピールする清少納言とは真逆の態度

 というのもこの記事の直後、紫式部はわが身を省みて、「何一つ思い出になるようなふしもない」などと書きつづりながら、煩わしくも心の波立つ宮仕えを、「バカに徹すること」で乗り切ろうとしたことを記している。人前では、一という漢字も書きおおせぬふり、屏風の字も読めぬふりをするなど、

“ほけ痴れたる人”(ぼけたバカな人)

 になり切ったのである。知識をアピールする清少納言とは真逆の態度を取ったわけだ。

 すると、どうだ。

「こんな方だとは思わなかった。風流ぶって、こちらが気後れするような感じで、とっつきにくくて、よそよそしくて、物語好きで、気取っていて、何かというと歌を詠んで、人を人とも思わず、憎らしげに人を見下しているような方なんだろうって、“みな”で言い合って憎らしがっていたのよ。それが会ってみたら不思議なほどおっとりとして、(「源氏物語」を書いた人とは)別人かと思った」

 と、“みな”が言うようになったではないか。

「風流ぶって」以下の前評判のすさまじさに震えがくるが、それを余さず書き記す紫式部の執念も恐ろしく、作家の業のようなものを感じる。

居場所を得る代わりに憂鬱感とむなしさが

 紫式部は、「こんなにもおっとり者と見下げられてしまった」と思うものの、「これこそ私が望んだこと」とも言い、彰子中宮にも、

「そなたとはこんなに打ち解けて会うことはあるまいと思っていたのに、人よりずっと仲良くなった」

 という仰せを頂いたと記している。

 こうして紫式部は、宮仕えで居場所を得た。その代わり、恒常的ともいえる憂鬱(ゆううつ)感とむなしさを感じる結果となった。

 弟(兄)に先んじて漢文を覚えるほどの頭脳、彰子に漢籍を進講するほどの知識の持ち主がバカに徹していたのだから、無理もない。

 何かと並び称せられる二人の才女は面識はなかったとされているが、嫉妬を含めた彼女たちの感情が、大河ドラマではどう描かれるのか、楽しみである。

週刊新潮 2024年1月18日号掲載

特集「『紫式部』の心の闇とは…『源氏物語』よりドロドロ NHK大河『光る君へ』の『嫉妬』と『階級』」より

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引用元:https://www.dailyshincho.jp/article/2024/01231057/,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]

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